Information ethics
Case3
2ちゃんねる動物病院事件(東京地裁判決 平成14年6月26日)
[概要]
原告の動物病院とその経営者である獣医が、被告の運営するインターネット上の電子掲示板「2ちゃんねる」において、原告らの名誉を毀損する発言が書き込まれたのにもかかわらず、被告がそれらの発言を削除するなどの義務を怠り、原告らの名誉が毀損されるのを放置し、これにより原告らは精神的損害等の被害で東京地裁に提訴した事件。
原告らは、ネット上の名誉毀損により精神的損害等を受けたとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求、本掲示板上の名誉毀損発言の削除を要求。東京地裁は、被告2ちゃんねる運営者に対し、200万および遅延賠償金の支払い、さらに「2ちゃんねる」における文言などの発言を削除することを命じた。(民法723条、人格権としての名誉権)
[判例]
インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷について、管理責任を発言者当人のみでなく管理者にも負わせるという判例。名誉棄損は、本来、発言者と被害者の二者の問題だが、プロバイダーや管理者にも一定の責任があるとされ、その免責内容を定めたものが特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)である。
[解説・批評]
ここで問題となってくるのは、名誉毀損や誹謗中傷など、発言者の責任を掲示板の管理者が負うものなのだろうかということです。私の考えでは、電子掲示板の管理者は、自ら直接書き込んだわけではありませんが、他者の権利を侵害するような発言が掲載された場合、それを見過ごすのは許されないと思います。発言者はもちろん、自らの発言に十分に責任を持つ必要があるのは当然だと思います。また、ネット上でのマナーもきちんと守る必要もあります。しかし、発言者だけでなく管理人も責任を持って、細心の注意を払い、常に他人の名誉を毀損するような発言がないかを確認し、そのうえ何か問題となる発言を確認した場合は、直ちにそれを削除するという心がけが必要であると思います。被害者からの削除要求にも関わらず、不快を感じ、その名誉が傷つくような発言をそのまま掲示板に放置されるようなことはあってはならないのではないでしょうか。