Bioethics

生命倫理について

100年以上の未来では生殖医療について考えてみる


100年以上の未来は、今以上にさらなる科学や技術の発展が期待できると予想します。そして、今まで治療が困難だった難しい病気の治療の可能性も広がり、不治の病に対する新しい特効薬などが開発されるかもしれません。私たちの想像を絶する世界がそこに存在するにちがいないと私は思います。同時に、生殖医療の技術もよりいっそう進んでいることでしょう。より高度で複雑な生命操作などが施されているかもしれません。

しかし、ここではそういった高度な技術と、倫理や道徳とのさらなる対立も予想されます。技術の進歩により、ヒトの生命の操作がいともたやすく施されるようになると、人間の生命は軽く見られるようになることが予想されます。そのような時代では、もう倫理やモラルはキレイごとになり、通用しなくなっているかもしれません。なぜなら科学技術に対して、常に疑問や矛盾をついてくる哲学的思考にいちいちとらわれていては、技術のさらなる発展はありえないからです。講義にもあったように、倫理を意識しすぎると、科学の進歩はそれ以上のぞめないのです。それは逆説的に、哲学的な概念に見向きもしないで科学に専念するからこそ、新しい発展が生み出されるのともいえるでしょう。

しかし、そうなってしまえば、人間の生命は軽視され、こころを持たないロボットなどと同等のイキモノになり伏してしまうことでしょう。私たちがSFや空想でえがいていた夢のような世界の到来である。生命の価値、人間の生命の大切さは、軽視されてはならないかけがえのないものであると信じたいですが、こういとも簡単に生命が人の手によって操られるようになっては、その価値が低減してしまうことは否めないのではないでしょうか。人間の価値や尊厳は、いずれ科学技術の発達にともない消え失せてしまうことでしょう。

こう考えると、見失われがちな人間の尊厳を維持するために、倫理が非常に大事になってくると思います。だから私は、たとえ科学技術がいかに進歩しようとも、その問題や矛盾点に異議をうったえる倫理の存在を忘れてはならないと思います。高度な技術の登場する時代であるからこそ、ますます倫理などのモラルが重要視されなければならないのではないでしょうか。

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