Natural science ethics
生態系を守るということ
ご存知の通り、私たちの住む地球は、限りあるものです。同時にその中にある生物資源にも、もちろん限りがあります。それゆえ自然はかけがえのないものであり、私たちはそれらの限られた資源を、人間の手で独占することなく、他の動植物と分配しながらも、自らの手で守っていく必要があるといえます。しかし、人間は自然を永久不変の当たり前の存在として認識してしまいがちです。そのため、普段はその恩恵にあまり気付いていないことが多いのではないでしょうか。むしろ、「自然を管理しているのは私たち人間である」という誤解を抱いていることの方が多いのではないでしょうか。なぜなら、人間は上記のような他の生物と比較すると、自然界の中でも優位な立場にあるといえるからです。私たちは、自然には限りがあり、自らの手でコントロールすることは現実として不可能であるということは十分承知しています。しかし、やはり自然開発、科学進歩などといった言葉にも表れているように、人間の手で自然を利用し、自らの利潤につなげているということも事実です。そこから、自然をコントロールできるといった錯覚に陥るのではないかと思います。そこで、自然を人間がコントロールできるという考え方を改め、野生動植物を含んだ自然環境との共生が今後大事になってくるのではないかと私は考えます。
世間では、環境破壊の恐ろしさや、生態系の維持の大切さがうったえられていますが、それらを深刻に受け止める人は一体どのくらいいるのでしょうか。おそらく、それほど多くはいないでしょう。人間は生活における便利さを優先するあまり、環境やまわりの動植物に対する配慮をついつい後回しにしてしまいがちです。さらに現在では、より便利な優れた新商品の開発に力を注ぐ企業がますます増加してきています。また、新しいモノの開発をめぐって科学者たちは試行錯誤をかさね、さまざまな実践や実験をおこなっています。このような競争社会では、いちいち倫理やモラルなど気にしてはいられません。自然が破壊されるから、動植物たちに悪影響を与えるからといって実践を見送っていれば、もはや科学の進歩や発展など期待することはできないでしょう。科学の進歩には少々の環境破壊はつきものだ、という考え方が前提になっているのです。
科学技術の進歩と環境について
しかしながら、最近ではあまりにも科学技術が発展しすぎてあっけにとられることが多くあります。たとえば、私はテレビや広告を見ていて、月ごとに追加改良されている新機種のスマートフォンや家電の数に驚いています。こんなにも便利さを求める必要があるのだろうかと、ふと疑問に感じるときもあるほどです。子どものころ、マンガで読んだ記憶がありますが、何でもボタンひとつで実現してしまうような便利な機械やロボットなどの登場も、今後、仮想の世界だけの事柄ではなくなるのではないか、と少し奇妙に思うこともあります。極度な便利さの追求が、かけがえのない環境の犠牲を生んでいる。環境が破壊されると、必然的に生態系も破壊される。すると、まわりの動植物のバランスの均衡状態はくずれ、いずれ私たち人間もその被害を受けることになるのではないでしょうか。結局のところ、人間はおのずからの手で、自分たちを苦しめるという事態が起こってしまうのです。
技術の進歩、便利さは私たちにとって非常にありがたいものです。しかし、それ以上に環境に対する恩恵も忘れてはならないと私は思います。自然はこの地球に住むみんなのものであり、人間、動物、植物の相互にうまくかかわり合うことがとても重要です。このバランスの不均衡を解消するためにも、私たちは動植物と良い関係を保ち、自然とうまく共生していく必要があるのではないでしょうか。そのためにも、私たち一人ひとりが自然の大切さを実感し、自然環境に対し、少しでも意識をかたむけることが大事なのだと思います。
近年、環境や生態系を考慮しての、野生生物や原生自然の保護、自然保護団体の設立などの試みが見られ始めました。また、各企業の環境に対する取り組みや配慮なども見られるようになってきています。こういった森林、野生生物、生物多様性の保護などの活動も積極的になされるべきだと思います。まずは何よりも、環境との対話、共生はかかせないのではないかと思います。私もこれらのことを念頭において、日々の生活の中でも、環境に対する心がけを忘れてはならないと改めて感じています。
自然保護・環境保護に積極的な団体
私が住む大阪府では、自然保護団体が存在します。環境についての理解を深めたり、家族で自然にふれることができたりとさまざまなイベントなども定期的に実施されています。このようなイベントがもっと身近なものとなり、自然に対する意識や見解を深めていければいいなとねがいます。ぜひご覧ください。
■公益財団法人 東大阪市公園環境協会
http://higashiosaka-kouenkankyou.or.jp/緑ゆたかな町づくりや生活環境保全の向上をはかっています。 東大阪市の緑化推進及び公園、緑地、街路樹等の保全と利用促進する事業を通して、市民の緑化意識の高揚と緑化 活動支援を行うとともに、東大阪市におけるし尿収集運搬事業等の公共公益性を確保し、能率的かつ総合的な運 営を推進することにより、市民の生活環境の保全及び公衆衛生の向上に寄与することを目的としています。
■緑地保全学研究グループ
http://www2.envi.osakafu-u.ac.jp/lconsenv/http/html_docs/main-j.html緑地保全学研究グループは豊かな自然環境の保全と回復、および緑を中心とした快適な生活環境の創造と発展を 大きな目的として、技術や理論について研究を進めています。近年の環境問題への認識が深まるにつれ、対象とす る場は従来の造園学が取り扱っていた庭園や公園だけでなく、都市や都市近郊から農山村や自然公園、さらには 海外の砂漠化地にまで広がっています。
■大阪府立環境農林水産総合研究所
http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/mokuteki/index.html大阪府立環境農林水産総合研究所は、平成24年4月に地方独立行政法人として生まれ変わりました。大阪の大気 や河川、海域、森林、農地、都市の緑をフィールドとして、環境の保全、農産物・水産物の安全と安心を総合的に支え る研究所です。調査や試験研究並びにこれらの成果の活用等を行うことで、「豊かな環境の保全及び創造」「農林水 産業の振興」「安全で豊かな食の創造」を図り、府民生活の向上させるという目的のもと業務を行っています。